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終わらない夢

たようです」ベヴィエは


 スパーホークは若い騎士の誠実な表情をしばらく見つめ、ため息をついた。
「いや、ベヴィエ、そうじゃないと思う。ただちょっと驚いただけだ。頼むから、ああいう唐突な行動は二度としないでくれ。わたしはもう若くない。神経にこたえるんだ」
「仲間のことを考えていなかっうなだれた。「もう二度としません。約束します」
「ありがとう、ベヴィエ。とにかくカルテンを連れていこう。セフレーニアに診《み》てもらわないと。セフレーニアのほうにもカルテンと話したいことがあるだろう。たっぷり時間をかけてな」
 カルテンは困ったような顔になった。
「このままここに置いていってくれと言ったらだめかな。土の上は寝心地がいいんだ」
「無駄だよ」とスパーホーク。「でも心配するな。セフレーニアはおまえが好きなんだ。ひどいことをしたりはしないさ。少なくとも一生残るようなことは」
 スパーホークとベヴィエがぐったりしたカルテンを連れて戻ると、セフレーニアはベリットの上腕部の大きな醜い傷を手当しているところだった。
「傷は重いのか」スパーホークは若い見習い騎士に尋ねた。
「どうってことありませんよ」ベリットはそう答えたが、顔色は冴えなかった。
「パンディオン騎士団ではまずまっ先に、自分の傷のことは軽く言えと教えるのですか」セフレーニアが皮肉っぽく尋ねた。「鎖帷子《くさりかたびら》で威力は半減していましたが、一時間もしないうちに肘《ひじ》から肩まで紫色に腫《は》れ上がりますよ。しばらくは腕が使えなくなるでしょう」
「今日はご機嫌がよろしいようですね、小さき母上」カルテンが言った。
 教母は脅すように指を突きつけた。
「カルテン、お座りなさい。ベリットの腕の治療がすんだら、話があります」
 スパーホークはあたりを見まわした。「アラスとティニアンとクリクはどこです」
「ほかに待ち伏せをしている者がいないかどうか、偵察に出ています」ベリットが答えた。
「いい考えだ」
「あの怪物、そう危険そうには見えませんでしたが」とベヴィエが言った。「いささか不可思議ではありますが、危険という感じはしませんでした」
「やられたのはあんたじゃないからな。あいつは危険だよ。おれを信じろ」カルテンが答えた。
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